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からっぽ

からっぽ

¶イタダキモノ¶

『おさななじみ』


幼馴染みの特権とはいかなるモノか?
 自問自答してあっさり消去する。
 考えて何が得をするという訳ではないのだから。


「お待たせ致しました」
 営業スマイルのウエイトレスがコーヒーを運んで来る。
 顔はたいして可愛くはないがピンクのエプロンがカワイイので、
「おおきに」
 こちらもお返しとばかりにスマイリースマイルを贈るとウエイトレスが頬を染めて笑った。
 俺ってば罪作りなヤツ。
 心の中でべぇ、と舌を出す。
 コーヒーの黒い表面に移った窓の外。
 道行く人並みをぼんやりと眺めながら、待ち合わせが“カフェ”なんて金輪際カンベンして欲しいと想う。
 タバコを吸う気も失せてしまうではないか。
 ふと、窓の外を眺めていると反対側の道路数メートル先で、小学生くらいの男の子二人が口論しているのが見えた。
 遠目でもケンカをしているというのがよく分かる。
 その証拠にその二人の顔のなんと険しい事か。

『エイちゃんのアホんだらっ!』
 
 懐かしい、と想った。

『朔ちゃん』

 懐かしい感じ。

『朔ちゃん、ごめんなぁ…』



「何笑ってんねん」
 ふいに頭上で声がして、
「気色悪いなあー」
 言いながら慣れた笑顔が自分に笑う。
「アーホ、俺様のどこがキショイんじゃ」
「顔」
「…あ、そう」
「はは、ウソ、冗談。何、なに見てたん?」
 先程の俺の視線を確かめようと向かいの席に腰掛けながら窓の外を見る。
「内緒」
「ええ?」
 想い出して、笑う。
「ほんまにキショイなあー」
 つられて、鋭嗣が笑う。


 幼馴染みの特権なんてモノはない。
 特権は、特権なのだ。




 FIN




いつもお世話になっている仲良しこよしの凛ちゃんからvvv
わが息子二人のオハナシをくれました!!
ありがとう、一生大事にします!!
うわぁ、マジ嬉しい…
ほんとにおおきにでした!


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